IT導入補助金とは?【2023年・令和5年】の概要、手続き等を詳しく解説

目次

  1. はじめに
  2. IT導入補助金とは?
  3. IT導入補助金2023の事業目的及び補助金額
    1. IT導入補助金2023交付申請~補助金交付までのフロー(通常枠の例)
    2. 通常枠(A・B類型)
    3. セキュリティ対策推進枠
    4. デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
    5. 補助額の下限・上限、補助額
      1. ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は上記に加えハードウェア購入費が対象
  4. 補助対象者
  5. 事業スケジュール
  6. 事前準備が必要な項目
    1. IT導入支援事業者の選定
    2. ITツールの選択
    3. gBizIDプライムアカウントの取得
    4. 「SECURITY ACTION」の実施
    5. 「みらデジ」の「経営チェック」の実施
  7. 申請手続きのフロー
    1. 交付申請(IT導入支援事業者との共同制作・提出)
    2. ITツールの発注・契約・支払(補助事業の実施)
    3. 事業実績報告
    4. 補助金交付手続き
    5. 事業実施効果報告
  8. おわりに

1. はじめに

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が業務効率化や売上アップのため、ITツールや関連サービスを導入・利用する際、かかる費用の一部を補助する仕組みです。
中小企業者は、IT導入補助金を活用することで積極的にITツールの導入が図れます。
本記事では、事業者が使える様々なタイプの補助金のうち、ITツールや関連サービス等の購入・利用に活用できるIT導入補助金2023について、その概要、手続きの流れや留意点など詳しく解説します。

2. IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、中小企業庁の監督下で運用が図られている、中小企業・小規模事業者を対象とした補助金です。
「サービス等生産性向上IT導入支援事業」として、過去数年、毎年実施されており、2023年も継続実施中です。
中小企業・小規模事業者がITツール導入時に活用できる補助金としてすでに広く認知・活用されています。

3. IT導入補助金2023の事業目的及び補助金額

3-1. IT導入補助金2023交付申請~補助金交付までのフロー(通常枠の例)

IT導入補助金の交付申請から、最終、事業者が補助金を交付されるまでの流れは以下の図の通りです。
 
図1

図1引用元:中小機構/IT導入補助金/事業概要
この図で登場する「IT導入支援事業者」とは、補助事業を申請者(中小企業・小規模事業者)とともに実施する、補助事業を実施する上での共同事業者(パートナー)をこのように呼びます。
IT導入支援事業者は、申請者が自社の生産性向上を目的として各種ITツールの導入を検討する際、ITツール情報の提供、事業計画の策定はじめ各種申請手続き等のサポートを行います。
さらに申請者がIT導入補助金を利用してITツールを購入する場合は、支援事業者として登録を受けた販売者から購入しなければならないルールとなっています。
また、補助金に関する申請を受付ける本部を「事務局」と呼び、事務局は中小企業庁及び中小企業基盤整備機構の監督下で運営されています。

3-2. 通常枠(A・B類型)

通常枠(A・B類型)とは、申請者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する際、その経費の一部を補助することで、会社の業務効率化、売上アップをサポートすることを目的とする補助金枠です。

3-3. セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠とは、申請者が、サイバー攻撃が原因で事業継続が困難となるような事態を回避しまた低減することを目的に、サイバーセキュリティを強化するために設けられた補助金枠です。

3-4. デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)とは、申請者が導入する会計ソフト・受発注ソフト・決裁ソフト・ECソフトの経費を一部補助することで、インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化の推進を目的とした補助金枠です。

3-5. 補助額の下限・上限、補助額

IT導入補助金2023の補助額の下限・上限、補助額は以下の通りです。
表1

(※1)通常枠(A類型・B類型)の違いは補助金申請額です。
申請額が5万円~150万円未満ならA類型、150万円~450万円以下ならB類型として申請します。
つまりIT導入補助金を活用すれば、ITツール導入費用の自己負担額が半分になると理解すれば分かりやすいです。

3-5. ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は上記に加えハードウェア購入費が対象

表2

4. 補助対象者

IT導入補助金の補助対象者は、中小企業・小規模事業者となっており、その定義は業種分類、資本金、従業員数等、要件ごとに異なっています。
自社が補助対象先に該当するかどうか、詳細は以下の公式サイトでご確認下さい。
参照先:IT導入補助金2023/補助対象者/中小企業・小規模事業者

5. 事業スケジュール

IT導入補助金のスケジュールは毎年、段階的に発表されています。
たとえば、通常枠(A類型・B類型)のケースだと、2023年分は1次締切分~7次締切分まであります。(すでに3次受付分までは7月10日までに申請が締め切られています)
各々にスケジュールが①締切日②交付決定日③事業実施期間④事業実績報告期限の順に設定され、申請者はスケジュールに沿って粛々と事業を推進していく必要があります。

【通常枠・4次締切分のスケジュール】
表3

【通常枠・5次締切分のスケジュール】
表4

【通常枠・6次締切分のスケジュール】
表5


【通常枠・7次締切分のスケジュール】
表6

IT導入補助金2023の各補助金枠のスケジュールの詳細は以下の公式サイトでご確認下さい。
参照先:IT導入補助金/事業スケジュール

6. 事前準備が必要な項目

IT導入補助金の申請前に、事前準備が必要な項目について解説します。
事前準備が必要な項目としては主に以下の5つがあります。

①IT導入支援事業者の選定
②ITツールの選択
③gBizIDプライムアカウントの取得
④「SECURITY ACTION」の実施
⑤「みらデジ」の「経営チェック」の実施

6-1. IT導入支援事業者の選定

補助金の交付申請を行う事前準備として、まず自社の業績や事業規模、経営課題等に沿って、IT導入支援事業者とITツールを選定します。
IT導入支援事業者は、補助事業を中小企業・小規模事業者とともに実施する上での共同事業者(パートナー)であり、ITツールの説明導入、事業計画の策定、補助金の交付申請、実績報告書の事務局提出など各種申請手続きのサポートを行います。

6-2. ITツールの選択

IT導入支援事業者の選定と併せて、補助事業を行おうとする中小企業・小規模事業者は、IT導入支援事業者から自社の生産性向上に資するITツールに関する情報の提供を受けて社内で検討、最終的に導入するITツールを選択・決定します。

6-3. gBizIDプライムアカウントの取得

補助金の交付申請を行う準備として、申請者(中小企業・小規模事業者)は「gBizIDプライム」アカウント(ID・パスワード等)が必要です。
gBizIDプライムアカウントとは、法人・個人事業主向け共通認識アカウントで、いったんGビズIDを取得すると、1つのID・パスワードで複数の行政サービスにログインできます。
Gビズは、「gBizID」ホームページにアクセスして手続きすれば取得可能です。
また取得までの期間は申請手続きからおおむね2週間必要ですので、IT導入補助金を申請するなら十分時間的余力を持って事前申請するようにして下さい。

6-4. 「SECURITY ACTION」の実施

IT導入補助金の交付申請には、「gBizIDプライム」アカウント取得に加えて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要です。
この宣言は、中小企業・小規模事業者等が自ら、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度で、「★一つ星(※1)」または「★★二つ星(※2)」を宣言することを補助金申請の要件としています。
交付申請作成時には、宣言済アカウントIDの入力が必要となります。
申請時になぜ「SECURITY ACTION」の宣言が必要かというと、ITツールの導入にはセキュリティ面への配慮が重要だからです。
さらに加えてITツール導入後も、情報セキュリティ対策を継続かつ向上させる取組が必要なため、本補助金を申請する際、SECURITY ACTIONを宣言することが必須要件となりました。
 (※1) ★一つ星では、中小企業が自ら「情報セキュリティ5カ条」に取り組むことを宣言
 (※2) ★★二つ星では、中小企業が「情報セキュリティ基本方針」を定め、外部に公開したことを宣言

6-5. 「みらデジ」の「経営チェック」の実施

IT導入補助金の交付申請時には、上記4つの項目の準備に加え、「みらデジ」の「経営チェック」の実施が必要です。
「みらデジ」ポータルサイト内にgBizIDで登録し、「経営チェック」を受けます。
「みらデジ」は、中小企業・小規模事業者等の経営課題をデジタル化によりサポートする制度で、中小企業庁が実施しています。

7. 申請手続きのフロー

IT導入補助金の申請手続きを最初から最後までフロー図にしたのが以下の図2です。
申請者(中小企業・小規模事業者)とITベンダー・サービス事業者では、立場によって行う申請手続きの内容が異なるので注意が必要です。
手違いが起こらないよう、申請者はパートナーと連絡を密に取り合って粛々と手続きを進めて下さい。
以下、事前準備後の各手続きについて要点を中心に解説します。
図2

図2引用元: 中小機構/IT導入補助金2023/申請・手続きフロー

7-1. 交付申請(IT導入支援事業者との共同作成・提出)

申請者はパートナーとの間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。
必要情報、必要書類等の準備ができたら、IT導入補助金2023の「申請マイページ」上で内容入力、最後に内容を再度確認して、申請に対する宣誓を行い事務局に提出します。

7-2. ITツールの発注・契約・支払(補助事業の実施)

交付申請を完了し、事務局から交付決定を受けた後、ITツールの発注・契約・支払等を行います。
【交付手続きの重要点】
交付決定前に発注・契約・支払等を行った場合、補助金の交付を受けられなくなります。

7-3. 事業実績報告

中小企業・小規模事業者は、補助事業の完了後、実際にITツールの発注・契約、納品、支払等を行ったことが分かる証憑等を整えて、事務局宛て事業実績報告を提出します。

7-4. 補助金交付手続き

事業実績報告が完了し、補助金額が確定すると、『申請マイページ』で補助額を確認できるようになります。
また、内容を確認した後に補助金が交付されます。

7-5. 事業実施効果報告

事業実施に関する効果については、定められた期限内に事務局宛、報告が必要です。
補助事業者は『申請マイページ』より必要な情報を入力し、IT導入支援事業者の確認を経て事務局宛提出します。

8. おわりに

IT導入補助金2023について、その概要や手続きの流れ、留意点など詳しく解説しました。
ITツールや関連サービス等を導入・活用して、業務効率を上げて売上・利益の拡大に結びつけたい事業者の方は、ぜひIT導入補助金の活用をおすすめします。